[レポート]内部からの勝利: 海外のディアスポラ(移住者)をターゲットにした中国の情報作戦 – CODE BLUE 2023 #codeblue_jp
こんにちは、臼田です。
みなさん、セキュリティ対策してますか?(挨拶
今回はCODE BLUE 2023で行われた以下のセッションのレポートです。
内部からの勝利: 海外のディアスポラ(移住者)をターゲットにした中国の情報作戦
中国とアメリカの政治情勢が激化する中、ソーシャルメディアは依然として中国の脅威アクターにとって、世論に影響を与えるための主な戦場となっている。中国は影響力作戦(IO、情報作戦)において、中国のボットネット、マーケティング会社、海外支社など、さまざまなリソースを組み合わせていたことが指摘されています。
特に、IOの内容が華僑向けに調整されています。私たちは、中国がディアスポラを活用し、他国の国民の支持を獲得するために有利なシナリオをさらに沸き立たせていると評価した。
プレゼンテーションの前半では、中国のボットネットの最近の進化について解説します。2022年末に汎用AIが高い関心を集める中、中国のボットネットも関連コンテンツを作成するキャンペーンにAI技術を採用しました。OperationWhitePaperでは、中国ボットネットがVTuberのアバターを使って、中国の厳格な新型コロナウイルス対策に対する2022年の抗議運動である「白書革命(White Paper Revolution」を批判する動画を共有しました。
後半では、中国のボットネット、マーケティング会社、海外支社の緊密な連携を示す3つの注目すべきキャンペーンを紹介します。はじめに、中国の国家警察が「912プロジェクト」の下で、同じボットネットを活用して米国で偽情報キャンペーンを展開している様子を詳しく紹介します。次に、英国を拠点とするPR会社に関する単独調査を紹介します。最後に、台湾での最近の事例について詳しく説明し、脅威アクターがどのようにして現地のPR会社を潜在的に利用して、より関連性の高いコンテンツを含むIOキャンペーンを実施できるかを示します。
中国のIOキャンペーンは、その政治的課題に沿ったものであり、しばしば地政学的に重要な出来事の際に急増しました。講演の最後では、私たちの評価と今年中に起こりうる脅威の状況について説明します。特に、2024年1月に台湾で次期総統選挙が行われることから、今後起こりうるIOキャンペーンについての予測と、潜在的な影響を軽減するための政策提言を紹介します。
Presented by : チーユン・ファン - Chih-yun Huang チェ・チャン - Che Chang
レポート
- 華僑をターゲットにした攻撃
- 中国が世論をどう操作しようとしているのか
- ハイライト
- ソーシャルメディアを使って社会に影響を与えようとしている攻撃のまとめ
- 中国は過去5年間SNSを武器化している
- これは長期戦でじっくり反米反日反台湾などのストーリーを作り上げている
- 中国当局とIT企業の癒着なども調べている
- 中国の華僑に影響がある可能性がある
- 4つの話
- 手法と定義
- 最新の中国の活動、ボットネットワーク
- ケーススタディ: 中国政府と民間企業が密接に関係していること
- まとめ
- 詳細
- 手法と定義
- ソーシャルメディアは生活に必要不可欠なもの
- 一部の地域ではソーシャルメディアはインターネットそのもの
- 場合によってはバイアスがかかってしまう
- Cyber Threat Intelligence(CTI)モデルを活用している
- それぞれの指標の相関を見るようにしている
- それぞれのキャンペーンを比較する
- 中国は強力な検閲制度があり、これがSNSで発揮されている
- ChinaRootの追跡をしている
- 中国とのつながりが深い
- 中国の敵対国に対するネガティブキャンペーンが行われている
- プロパガンダとも言える
- 感情や行動にあらわしている
- 最新の中国の活動、ボットネットワーク
- ChinaRootの進化について
- 2023年のChinaRoot
- プロパガンダや偽情報を特定の国に拡散している
- しかし殆どは英語や中国語で書かれている
- 日本や台湾などへの悪意のある情報が書かれている
- ChinaRootはディベートを盛りたてる
- 政治家に対してもアプローチしている
- 2021年にChinaRootを特定している
- 200を超えるアカウントがある
- DRAGONBRIDGEやSpamouflageと重複している
- XやYouTubeだけでなく、台湾のローカルなソーシャルメディアでも活動している
- 車のSNSなど
- 特徴的なこと
- ツイッターの本当の書き込みではなく、そのスクリーンショットを掲載している
- プラットフォームの検閲を回避する目的
- そのスクリーンショットの投稿にいいねがたくさんついているから注目されているように見せている
- 実際にはフェイク
- 今年更に進化している
- それぞれart formを使っている
- AIのビデオ利用
- VTuberのアバターを使って作っている
- アニメ調のもの
- 漫画や手書きのアニメーション
- コロナを広めたのはアメリカだなどの偽情報を流布
- ニュースチック
- セサミストリートっぽい人形を使った動画
- バイデン氏など特定の政治家をターゲットにしている
- 語り口の例
- 反米感情
- アメリカ人はインフレの中で暮らしている
- 銃規制やコロナなど
- 反日
- 沖縄や福島に関するもの
- 処理水についての投稿はボットアカウントがたくさん投稿している
- 反台湾
- 台湾の政権、与党に関するコメントがある
- かなり多くの偽情報を載せているアカウントがある
- 米国への回帰論
- 反米感情
- これらのキャンペーンは各国を批判しようとしている
- たくさんの事例があるが、英語や中国語で発信されている
- 華僑に向けて発信していると思われる
- 近い将来、生成系AIによってより洗練されるかも
- ケーススタディ: 中国政府と民間企業が密接に関係していること
- 912 Project
- 2023年4月17日の事例
- アメリカFBIによって明らかにされた
- 34人に訴追
- ニューヨークに違法で警察を置いていた
- 無許可で
- 中国MPSのスパイ活動
- MPSの仕組み
- 中国共産党に対して勇気を出して反対している人に対して調査している
- 中国捜査当局は法執行を担っている
- 警察組織は様々な活動を行っており、政治的な安全確保や検閲も行っている
- グレートファイアウォール
- 国外の活動もモニタリングしている
- 中国国外の表現も監視している
- 912プロジェクトとは
- MPSが中心で運営されている中国共産党が協力している
- MPSは警察の責任を持っていて、こういった作戦にも参加している
- 外務省の投稿をフォローすることもしている
- 行政が連携している
- オンラインのプロパガンダマネジメントを行っている
- アメリカにおける中国反体制派に対してのハラスメントも行っている
- 何をしているか
- 中国にポジティブな情報の発信
- 反米活動
- 活動はより大胆になってきている
- 隠密にできるようになっているから
- より厳しい批判を世論として発信している
- MPSの活動はChinaRootの活動と連携している
- わかること
- 組織間の協力が以前よりある
- 他国にも物理的なロケーションがある
- 現地市民への嫌がらせ
- 監視は中国の国外でも行われる
- それぞれの国の国内の問題に手を広げている
- 中国のPR企業、London New Europe Media
- 2021年5月1日
- Metaが報告した内容
- 悪意のあるソーシャルメディアアカウントがある
- コンテンツクリエイターがいる
- フェイクの情報を使ってヨーロッパの機関になりすます
- ネガティブキャンペーン
- ウイグルについて
- 台湾について
- 処理水について
- フェイクアカウントではアメリカの企業を装っているものがある
- London New Europe Mediaは企業であることが特徴
- この企業の運営は中国人
- APTグループとつながりがある
- 中国当局と他国の民間PR企業に繋がりがあるということ
- 翻訳者を雇って現地に詳しい人にコンテンツ作成を支援してもらう
- 台湾のケース
- Your Opinion Matters
- 「あなたの意見が大切です」
- Facebookでメッセージを拡散している
- 簡体字で拡散している
- 台湾人は90%がFBを使っているため効果的な手法
- ファンページがあったが、自身のポストもなかった
- 2つの関連アカウントが見つかった
- New Partyとつながりがある
- 2024年に向けて強化されそう
- 912 Project
- まとめ
- 中国では影響力作成をサイバー空間でも行っている
- ChinaRootが様々なステークホルダーに使われている
- 中国の華僑を動員しようとしている
- AIで言語の壁を乗り越えようとしてくると推測している
- どのように緩和できるか?
- とても難しい
- 全てのセクターが出を取り合って偽情報や不正なアカウントをスクリーンアウトしていく必要がある
- 何でも言っていいわけではない
- 誰が何を言っているのかをわかるようにしないといけない
感想
対応が難しい問題ですね。
Xではコミュニティノートが実装されていますが、それでも十分とは言えない対策だと思います。
個人だけではなく社会が偽情報に惑わされないようにしていきたいですね。